前回のブログに続き、生産緑地・特定生産緑地の活用の②になります。
もうすでに、役8割の方が特定生産緑地への移行というニュースを受けましたが、営農が厳しくなってきたり、納税猶予を受けていて生産緑地・特定生産緑地を維持しなければならない方に営農以外の方法の参考になれば幸いです。
その方法とは、
「土地を特養に貸す」ということです。
生産緑地法第3条には、生産緑地の指定条件の一つとして「公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること」という条文があります。
この中の公共施設には、道路・公園など以外にも公共事業によって供給される施設であって、公共財としての性格を持ち、公益施設である児童福祉施設(保育園)や老人福祉施設(特養など)も含まれていると解されています。
つまり、需要と供給が一致すれば生産緑地を特養の用地として地方自治体や社会福祉法人に貸せるということなんです。
2025年になると団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者になり、国民の3人に1人は65歳以上、5人に1人は75歳以上という超高齢化社会を迎えます。いわゆる「2025年問題」です。
特養の新設には、行政の認可をふうめて3年程度の時間を要します。
2015年から2017年にかけて特養は全国で整備されてきましたが、自治体が3年ごとに策定する介護サービスの整備計画の役7割にあたる4万5000床にとどまったと言われています。
地価や建設費の高騰、介護人材も不足している中で、政府は特養の待機者を2020年初頭までに解消する目標を上げていますが、実際はまだ不足のようです。
特養のような公益施設は手厚い補助の上に成立している場合が多く、運営主体が公益性を目的とする法人などであるため、健全な運営をしていれば倒産する可能性は低く、たとえ業績が悪化したとしても入居者に悪影響を及ぼさないように、行政が監査などを頻繁に行い、運営上の健全性を維持するように指導しています。
高額な地代は望めませんが、社会貢献という側面があるとともに、地代の前払い一時金(自治体による)によって相続対策も準備でき、将来的には更地で返してもらえるという好条件が揃っていて、貸主として安全で理想的な相手であると言えるのではないでしょうか。
他には土地として貸すのではなく、特養を建設して建て貸しの方法もあります。
この方法なら、収入は増やすことができます。
自ら社会福祉法人を設立して社会福祉事業(特養の経営)を行う方法もあります。
特養以外であれば、認可保育園に貸す方法もあります。
認可保育園は保育士の給与が低いこともあり、多大に地代が得られると考えるのは危険です。
出生数も減っているわけですから、需要と供給のバランスを考えて判断しなければなりません。
世の中、10年後・20年後を見通すのは難しいですが、人口動向だけはほぼ現実に即してきます。
人口動向は、今年何人生まれたかは確定した数字が分かり、その年に生まれた人は減ることはあっても増えることはないので、ほぼズレの無い予測が立つわけです。
それを基にどんな方法にするのか専門家を交えて考えるとより良い案が見つかると思います。
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