生産緑地等の都市農地を活用していく中で注意しなければならないことをちょっと書いてみたいと思います。

首都圏・中部圏・近畿圏の三大都市圏の農地についての視点で考えてみましょう。

一つ目の懸念材料としては、都市圏規模別将来人口の推移です。

2015年の三大都市圏の人口は5,115万人、2020年には5,067万人、2040年には4,058万人になると推計されています。

人口減少です。

もう一つの懸念材料は、住宅・土地統計調査による住宅のストック数と空き家についてのデータです。

ちょっと古いですが、2013年の住宅ストック数は6,063万戸、総世帯数は5,238万世帯で、居住者のいない住宅は853万戸になります。

今後も人口減少が加速する中空き家は増えていくと予測できます。

都市に居住していると空き家問題は過疎化が進んでいる地域の問題だと錯覚しがちですが、全国平均の空き家率13.5%に対して三大都市圏の空き家率は12.3%であり、大して変わりはありません。

2013年度の東京都の空き家は817,200戸、大阪府で678,800戸、神奈川県は486,800戸、愛知県で422,000戸で驚くべき数の空き家が都市部に存在しているのです。

次に資産価値について考えると、前期2つのデータだけで今後の都市農地の資産価値が今後どうなるかに答えを出すのは適当ではないかもしれませんが、都市圏といえども都心以外では資産価値が上昇するということを期待するには無理があると考えます。

東京でいえば、千代田区、中央区、港区のような超一等地のほか、人気のある特定のエリアの土地は引き続き資産価値は上昇または高水準を維持すると想像します。
しかしながら都市農地の活用を考えるのであれば、今後のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が縮小する流れを意識しながら、リスクを最小限に抑え、20年後30年後も生き残れるような有効活用を心がけて活用するように注意が必要になると考えます。


Rマーク付き