今回は前回に続きまして
【自筆証書遺言書保管制度について②】
になります。

今回は、自筆証書遺言書保管制度の遺言者の手続きについて書いてみたいと思います。

まず、保管制度を利用する際に法務局で行うすべての手続きは予約制となっています。

「遺言者の手続き」
①遺言者が遺言を預ける(遺言書保管の申請
②遺言者が預けた遺言書を見る(遺言書の閲覧
③遺言者が預けた遺言書を返してもらう(保管の撤回
④遺言者が変更事項を届け出る(変更の届出
の4つになります。
順番に見ていきましょう。

「遺言書保管の申請」
1.自筆証書遺言に係る遺言書を作成する。
※法務局では遺言書の内容等は相談に応じてくれません。しかし、民法の定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認(全文・日付及び氏名の自書、押印の有無)を行います。
※預ける遺言書及び財産目録はA4の用紙を縦に使用し、左側は20mm以上の余白を空け、上側・右側は5mm以上の余白を空け、下側は10mm以上の余白を空けて作成しなければなりません。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
2.保管申請をする遺言書保管所を決める。
※保管の申請ができる遺言書保管所は、遺言者の住所地遺言者の本籍地遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所になります。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
3.申請書を作成する。
※申請書は法務省のホームページからダウンロードできます。
06 申請書/届出書/請求書等 | 自筆証書遺言書保管制度 (moj.go.jp)
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
4.保管申請の予約をする。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
5.保管の申請をする。
※遺言者本人が遺言保管所に行かなければなりません。下記は持参するものです。
□遺言書(封筒は不要です。)
□申請書(あらかじめ記入して持参します。)
□添付書類(交付後3か月以内の本籍の記載のある住民票の写し)
□本人確認書類(顔写真付きのもの。運転免許証・マイナンバーカードなど。)
□手数料(遺言の保管申請の手数料は、1通につき3,900円です。必要な収入印紙を手数料納付用紙に貼ります。)
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
6.保管証を受け取る。
※手続き終了後に、遺言者の指名・出生の生年月日・遺言書保管所の名称及び保管番号が記載された保管証が渡されます。
保管証は、遺言者が遺言書の閲覧・保管の申請の撤回・変更の届出をするときや、相続人等が遺言書情報証明書の交付を請求するときに保管番号があると便利ですので大切に保管してください。
また、遺言書を法務局に預けていることを家族に伝えておくときに保管証を利用すると便利です。

「遺言書の閲覧」
1.閲覧請求する遺言書保管所を決める。
※モニターによる閲覧は全国どこの保管所でも請求できます。原本の閲覧は原本を保管している保管所のみの閲覧になります。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
2.請求書を作成する。(法務省HPからダウンロードできます。)
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
3.閲覧の請求を予約する。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
4.閲覧の請求をする。
※閲覧できるのは遺言者本人のみです。
※顔写真付き本人確認書と手数料(モニター1,400円・原本1,700円)を持参。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
5.閲覧する。

「保管の撤回」
1.撤回書を作成する。(法務省のHPからダウンロードできます。)
※保管申請を撤回できるのは、遺言者本人のみです。
※顔写真付き本人確認書類を持参。
※保管申請の撤回ができるのは遺言書の原本が保管されている保管所だけです。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
2.撤回の予約をする。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
3.撤回し、遺言書を返してもらう。
※保管の撤回をしても、遺言書自体が撤回されるわけではありません。効力は残ります。

「変更の届出」
1.届出書を作成する。(法務省のHPでダウンロードできます。)
※変更の届出ができる者は遺言者本人と遺言者の親権者や法定代理人です。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
2.変更の届出の予約をする。
※変更の届出は全国どこの保管所でも行えます。また、郵送でも可能です。
⇓    ⇓    ⇓    ⇓    ⇓
3.変更の届出をする。
※添付書類は、変更が生じた事項を証する書面(住民票・戸籍謄本等)

以上になります。
次回は、相続人等の手続きを「自筆証書遺言書保管制度について③」で書きたいと思います。

Rマーク付き