小野瀬行政書士事務所のブログです。相続についての情報をお届けします。

不動産相続

不動産相続・よくあるトラブル

不動産相続でよくあるトラブルとは?事例とともに解決策をチェック

●たとえ親族同士であっても不動産相続時にトラブルになることがある
●相続した不動産を平等にわけようとして揉めるケースもある
●被相続人が名義変更(相続登記)をおこなっていないがゆえのトラブルもある

不動産相続におけるトラブルは、他人事ではなく誰にでも起こりうることです。
揉め事が起こると解決までに時間がかかったり、相続人同士の関係性が悪くなったりします。

不動産相続において相続人同士でトラブルになるケース

不動産相続において相続人同士でトラブルになるケース

まず、不動産相続において相続人同士でトラブルになるのはどのようなケースなのでしょうか。

誰が不動産を相続するかで揉めてしまう

相続人同士のトラブルとして、誰が不動産を相続するかで揉めることがあります。
遺産のなかでも、不動産が高い価値を持っている場合、トラブルになることが多いです。
相続人のなかの1人が親と長いあいだ同居していた場合、相続を強く望むケースも少なくありません。
長年同居してきたことは、不動産という財産の維持や形成に寄与したと、主張することができるでしょう。
貢献度の認識の違いによるトラブルを回避するためには、遺言書の作成がおすすめです。
同居している相続人が不動産を相続することなどを、事前に決めておけば、相続人同士のトラブルを回避できます。

不動産を相続すると不公平になる場合

遺産が不動産しかない、または不動産以外にめぼしいものがない場合、相続人間でトラブルになることがあります。
相続人である子どもの1人が親と同居していた場合、実家を相続し、そのまま住み続けるのが一般的です。
しかし、価値のある遺産が不動産しかなかった場合、ほかの相続人から不満の声が上がるかもしれません。
そのような場合は、不動産を相続した方がほかの相続人に、代償金を支払うことで解決できる可能性があるでしょう。

相続人が多くトラブルになるケース

不動産の相続は、相続人が多いほどトラブルになりやすいです。
被相続人が離婚や再婚をしていたり、離婚した配偶者とのあいだに子どもがいたりする場合、遺産分割が複雑になります。
知らないあいだに認知していた子どもが名乗り出た場合、スムーズに手続きできない可能性もあるでしょう。
被相続人が離婚や再婚をしている場合は、事実を確認しておくことが大切です。
また、被相続人が元気なうちに遺言書を作成しておくと、不動産相続時のトラブルを回避できます。


相続した不動産を平等にわけようとしてトラブルになるケース

相続した不動産を平等にわけようとしてトラブルになるケース

相続した不動産を平等にわけようとしてトラブルになるケースもあります。
不動産相続では、誰かが損をしないよう、ひとつの土地や建物を兄弟や姉妹でわけるケースも珍しくありません。
しかし、平等に分割しようとすると、かえってトラブルになることがあります。
不動産を平等にわけるための方法は、次の3つです。

平等にわける方法1:共有分割

共有分割とは、ひとつの不動産を複数の相続人で共有することです。
相続人が3人いる場合、それぞれの持ち分は3分の1となります。
平等にわけられるためトラブルもないように思えますが、共有分割には下記のようなデメリットがあります。

  • 売却したいときは共有者全員の許可が必要
  • 将来2次・3次相続が発生し相続人が増える可能性がある
  • 固定資産税の通知書は代表者に送付されるため、納期ごとにほかの共有者から徴収しなければならない

このように、共有分割にはトラブルにつながりかねないデメリットが複数あります。
「平等にできるからとりあえず共有にしておこう」と思う方もいらっしゃると思いますが、ひとつの不動産を共有状態にするのは、あまり望ましくありません。
将来的なトラブルのリスクを考えたうえで、判断する必要があるでしょう。

平等にわける方法2:現物分割

現物分割とは、ひとつの土地を相続人の数に応じて分筆し、それぞれが所有権を持つことです。
相続人が4人の場合、4つにわけてひとつずつ取得します。
この方法も一見すると、平等に分割できるように見えます。
しかし、ひとつの土地を分筆した場合、形状や方位、間口の広さなどが異なるのが一般的です。
そのため、同じ面積でわけたとしても、評価額や使い勝手に差が出ることになります。
分筆によって資産価値が異なる土地が生まれると、誰がどの土地を取得するかでトラブルになる可能性もあるでしょう。

平等にわける方法3:換価分割

換価分割とは、不動産を売却して現金化したあと、平等にわける方法です。
現金を公平にわけられるため、不動産の遺産分割では、もっともトラブルを回避しやすい方法となります。
たとえば、不動産の売却金が3,000万円で売却にかかった経費が400万円、相続人が2人のケースで考えてみましょう。
手元に残るお金は2,600万円のため、それぞれが取得するのは1,300万円です。
不動産相続におけるトラブルを回避するためには、共有分割や現物分割よりも、リスクの低い換価分割がおすすめです。


相続した不動産の名義変更ができていなかったためトラブルになるケース

相続した不動産の名義変更ができていなかったためトラブルになるケース

最後に、相続した不動産の名義変更によるトラブルについて解説します。

被相続人が名義変更をしていなかった

不動産の相続手続きをはじめた際、名義変更がされておらず、前の世代の名義だったケースがあります。
被相続人がその不動産を取得したとき、名義変更をおこなわなかったがゆえのトラブルです。
土地や建物を相続すると、相続人は法務局にて名義変更(相続登記)をおこなう必要があります。
しかし、これまで相続登記は任意の手続きで、期限やペナルティーもありませんでした。
そのため、相続した不動産の名義変更がおこなわれないまま、新たな相続が発生しトラブルになるケースが増えています。
そのような不動産の相続時は、当時の被相続人が作成した遺産分割協議書を探したり、登記関係の書類を準備したりしなければなりません。
当時の遺産分割協議書がない場合、新しく作成する必要があるうえに、すべての相続人から署名と捺印をもらう必要があります。
手間と労力がかかる作業となり、トラブルに発展するリスクも高くなるでしょう。
トラブルを回避するためには、登記情報を調べたり法務局で名義を確認したり、相続に向けてチェックしておくことが大切です。

相続登記は令和6年4月より義務化される

名義変更がおこなわれないままの不動産は、相続時にさまざまなデメリットが生じます。
相続登記されずに放置された不動産は、将来新たな相続が発生した場合、多大な労力を要することになります。
そのため、令和6年4月より相続登記が義務化されることになりました。
名義変更の手続きが義務化されれば、不動産相続後のトラブルも減少するでしょう。
また、相続した不動産が空き家になり放置されるケースも年々増えています。
所有者が明確になることで、空き家の放置によるトラブル(老朽化や景観の悪化など)を防止できるのではと期待されています。


まとめ

不動産相続でよくあるトラブルをケースごとに解説しました。
土地や建物といった不動産は、分割しにくいがゆえにトラブルが起こるケースも多いです。
トラブルを回避するためにも、あらかじめ相続前に対策をおこなっておくことをおすすめします。


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書面のない不動産贈与において、贈与者が引渡し前に贈与を撤回できるか?

贈与不動産の相談事例です。

例)
書面のない贈与により所有権移転登記が済んでいる不動産の受贈者である所有者から売却の相談を受けた際に、継続して住んでいる贈与者が、まだ不動産の引渡しはしていないので、贈与を撤回すると主張されました。

贈与の撤回は可能なのでしょうか?
わかりやすい解説がありましたので下記に記載しますね!

「贈与は諾成契約かつ不要式契約すなわち契約書を作らなくても口約束だけで成立します。
しかし、民法は「書面によらない贈与」は、履行が終わっていない限り、撤回(法律的には、すでに契約が成立しているので、正確には「解除」)できるとしています。これは、物を他人にあげるという贈与の性質上、贈与者の意思表示が真実かどうか曖昧なことが多く、紛争になりやすいので、それを防止するため、あるいは贈与者が一時の感情にまかせて軽率な贈与をすることもあるため、これを救済するためと言われています。それゆえに、すでに履行が終わったものは撤回できないとされています。

その「履行」の意味について不動産については、引渡しまたは移転登記のいずれかがなされれば、履行があったものとして、もはや撤回できないと解するのが最高裁判例であり、確立した理論と言われています。
なお、履行が終わった贈与は撤回できませんが、例えば、息子が父の商店を引き継ぐこと、息子が父の面倒を見るということ等を前提に父がその息子に不動産を贈与したところ、息子は父の面倒を見ないどころか、その商店を第三者に売却しようとしているように、受贈者が贈与者から受けた恩に背く著しい背信行為を行い、贈与の効力をそのまま維持することが贈与者に酷と言える場合には、裁判例上、贈与の撤回が認められることがあるようです。
民法には、何ら規定はないが、これを「忘恩行為」による贈与の取消しといいます。要は、一般人の正義公平の観点からみて、あまりにもひどいケースについては、信義則、要素の錯誤あるいは負担義務の債務不履行等の理論をもって妥当な結論を導こうとするものであります。
相談ケースも「事実関係」にある事実のみでは分かりませんが、背景を詳細に検討すれば、「忘恩行為」による取消しが認められる可能性がないわけではありません。」


忘恩行為による贈与の取り消し・・・。
私も初めて聞いて勉強になりました。
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