贈与不動産の相談事例です。

例)
書面のない贈与により所有権移転登記が済んでいる不動産の受贈者である所有者から売却の相談を受けた際に、継続して住んでいる贈与者が、まだ不動産の引渡しはしていないので、贈与を撤回すると主張されました。

贈与の撤回は可能なのでしょうか?
わかりやすい解説がありましたので下記に記載しますね!

「贈与は諾成契約かつ不要式契約すなわち契約書を作らなくても口約束だけで成立します。
しかし、民法は「書面によらない贈与」は、履行が終わっていない限り、撤回(法律的には、すでに契約が成立しているので、正確には「解除」)できるとしています。これは、物を他人にあげるという贈与の性質上、贈与者の意思表示が真実かどうか曖昧なことが多く、紛争になりやすいので、それを防止するため、あるいは贈与者が一時の感情にまかせて軽率な贈与をすることもあるため、これを救済するためと言われています。それゆえに、すでに履行が終わったものは撤回できないとされています。

その「履行」の意味について不動産については、引渡しまたは移転登記のいずれかがなされれば、履行があったものとして、もはや撤回できないと解するのが最高裁判例であり、確立した理論と言われています。
なお、履行が終わった贈与は撤回できませんが、例えば、息子が父の商店を引き継ぐこと、息子が父の面倒を見るということ等を前提に父がその息子に不動産を贈与したところ、息子は父の面倒を見ないどころか、その商店を第三者に売却しようとしているように、受贈者が贈与者から受けた恩に背く著しい背信行為を行い、贈与の効力をそのまま維持することが贈与者に酷と言える場合には、裁判例上、贈与の撤回が認められることがあるようです。
民法には、何ら規定はないが、これを「忘恩行為」による贈与の取消しといいます。要は、一般人の正義公平の観点からみて、あまりにもひどいケースについては、信義則、要素の錯誤あるいは負担義務の債務不履行等の理論をもって妥当な結論を導こうとするものであります。
相談ケースも「事実関係」にある事実のみでは分かりませんが、背景を詳細に検討すれば、「忘恩行為」による取消しが認められる可能性がないわけではありません。」


忘恩行為による贈与の取り消し・・・。
私も初めて聞いて勉強になりました。
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