小野瀬行政書士事務所のブログです。相続についての情報をお届けします。

小野瀬行政書士事務所

【買い取り申し出後の生産緑地・特定生産緑地の活用】

買取申し出後の生産緑地・特定生産緑地の活用については、前回のブログで書いた注意点を意識して活用方法を考えていくことになります。

例えば、単純に不動産業者に売却してしまえばよいのか?

ご自身で収益不動産を建築すればよいのか?

先祖代々の土地だから所有することを前提に考えるべきなのか?

より資産価値の高い不動産・より収益性の高い不動産に組み替えるべきなのか?

つまり、買取申し出後は不動産コンサルティングでよく行われる手法を専門家を交えて考えていくことが大切になります。

不動産コンサルティングで行われる手法とは、

    収益不動産の建築

    負動産から富動産への不動産の組み替え

    等価交換

    定期借地権(一般的借地・建物譲渡特約付借地・事業用定期借地)

例えば、収益性の見込める立地であれば、①でアパートを建築することも考えられます。お金に余裕がなくても、土地の半分を売却して、その収入を建築費用に充てることもできます。

あるいは④を活用して半分を定期借地で貸し出して一時金を建築費に充てるということもできます。

絶対土地を手放したくないけれども、農業以外の収益を考えているのであれば、④の定期借地で特養に貸し出したり、ロードサイドであれば事業用定期借地でショッピングモールなどに貸し出したりもできます。

絶対手放さないわけではなく、収益性も見込めないようであれば、建売業者に買い取ってもらい、その収入でもっと収益性が高く資産価値の高い不動産を購入するという②の方法もあります。この方法であれば相続税対策として大きな効果が得られる場合もあります。

建物建築する費用が捻出できなくても③の等価交換でデベロッパーにマンションを建築してもらい、土地の価値分の区分所有を等価交換で取得し収益物件として貸し出すこともできます。

昔のように土地は持っているだけで資産だと考えている人は現在ではもう少数派です。

持っているだけでは、固定資産税や都市計画税の負担だけがある負債だと考える人がほとんどです。

当たり前ですよね。

ただ、生産緑地・特定生産緑地は面積の大きな土地ですので、その活用方法を見誤ってしまうと大きなダメージを受けてしまいかねません。

土地の所有者の希望を最大限かなえるためには、その都市農地の特性を十分把握し、今後のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)によるリスクを最小限にし、最有効使用を提案できる専門家と一緒に考えることが重要です。

 

弊所でもコンサルティングしておりますのでご希望でしたらご相談ください。
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【買取申し出後の都市農地活用の際の注意点】

生産緑地等の都市農地を活用していく中で注意しなければならないことをちょっと書いてみたいと思います。

首都圏・中部圏・近畿圏の三大都市圏の農地についての視点で考えてみましょう。

一つ目の懸念材料としては、都市圏規模別将来人口の推移です。

2015年の三大都市圏の人口は5,115万人、2020年には5,067万人、2040年には4,058万人になると推計されています。

人口減少です。

もう一つの懸念材料は、住宅・土地統計調査による住宅のストック数と空き家についてのデータです。

ちょっと古いですが、2013年の住宅ストック数は6,063万戸、総世帯数は5,238万世帯で、居住者のいない住宅は853万戸になります。

今後も人口減少が加速する中空き家は増えていくと予測できます。

都市に居住していると空き家問題は過疎化が進んでいる地域の問題だと錯覚しがちですが、全国平均の空き家率13.5%に対して三大都市圏の空き家率は12.3%であり、大して変わりはありません。

2013年度の東京都の空き家は817,200戸、大阪府で678,800戸、神奈川県は486,800戸、愛知県で422,000戸で驚くべき数の空き家が都市部に存在しているのです。

次に資産価値について考えると、前期2つのデータだけで今後の都市農地の資産価値が今後どうなるかに答えを出すのは適当ではないかもしれませんが、都市圏といえども都心以外では資産価値が上昇するということを期待するには無理があると考えます。

東京でいえば、千代田区、中央区、港区のような超一等地のほか、人気のある特定のエリアの土地は引き続き資産価値は上昇または高水準を維持すると想像します。
しかしながら都市農地の活用を考えるのであれば、今後のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が縮小する流れを意識しながら、リスクを最小限に抑え、20年後30年後も生き残れるような有効活用を心がけて活用するように注意が必要になると考えます。


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【生産緑地・特定生産緑地を貸す方法】

生産緑地・特定生産緑地を貸す方法にはどのような方法があるのでしょう。

生産緑地・特定生産緑地の所有者の方は、営農が厳しくなっても、買い取り申し出して指定解除して農業経営が困難になったとしても先祖から預かった農地を継続して所有したいという気持ちが大きいと思います。

しかし「人に土地を貸すと返してもらえない」と考える人も多くいますので貸してしまって良いものか迷ってしまいます。

生産緑地・特定生産緑地に限らず、建物の所有を目的に土地を貸す場合は、借地借家法が適用されます。

旧借地法が1992年に借地借家法に改正されました。

その前の旧借家法では、正当な理由がないと土地を返却してもらえず、立退料も高額でしたが、借地借家法には旧借地法の性格を受け継ぐ普通借地という制度と共に新たな3つの定期借地権が創設されました。

 

「一般定期借地権」

借地権の存続期間を50年以上に設定し、期間満了時に借地契約は終了し、借地人は土地を更地にして返還するものです。

一般的には、定期借地権付マンションとか聞いたことあるかと思います。

生産緑地・特定生産緑地では、特養に土地を貸す場合などが考えられます。

 

「建物譲渡特約付き借地権」

借地権の存続期間を30年以上に設定し、期間が満了した際に地主が借地人から建物を買い取ることで借地契約が終了します。

一戸建ての借地権などで利用できそうですがまだあまり見ないですね。

 

「事業用定期借地権」

事業の建物の所有を目的とした借地権で、10~50年の期間を定めて契約します。公正証書での契約が要件になります。居住目的の建物には適用されないため、ショッピングセンターなどの大規模商業施設や工場。物流施設などに適用される定期借地権です。

生産緑地・特定生産緑地の買い取り申し出後の活用で検討できることになります。

 

ちなみに、生産緑地・特定生産緑地の「認定事業計画に基づく貸付け」と「特定都市農地貸付け」の農地の貸付は、建物所有を目的としていないので、民法・都市農地の貸借の円滑化に関する法律が適用されます。

ではまた。


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【生産緑地・特定生産緑地の活用③】

前回のブログに続き、生産緑地・特定生産緑地の活用の③になります。

もうすでに、約8割の方が特定生産緑地への移行というニュースを受けましたが、営農が厳しくなってきたり、納税猶予を受けていて生産緑地・特定生産緑地を維持しなければならない方に営農以外の方法の参考になれば幸いです

 

その方法とは、

「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」に基づく貸借

2018年6月に都市農地の貸借の円滑化に関する法律(都市農地貸借円滑化法)が制定されました。

この法律の内容としましては、地方自治体の定める基準に沿った耕作事業や市民農園であれば都市農地(生産緑地地区の区域内の農地=生産緑地)を貸借することができ、貸借しても相続税の納税猶予はそのまま継続できるという法律です。

貸借の方法は大きく分けて2つあります。

「認定事業計画に基づく貸付」と「特定都市農地貸付」です。

 

「認定事業計画に基づく貸付け」

生産緑地の所有者は工作を希望する個人や企業の耕作事業に賃貸できるようになりました。

耕作事業を希望する個人や企業は、地方自治体の定める基準に適合し、農業委員会の認定を受けた「認定事業計画書」があれば、生産緑地を賃借できるようになりました。

生産緑地の所有者としては、相続税の納税猶予は継続されること、法定更新が不適用となることがメリットです。

自動更新ではなく合意更新となるので、土地を貸すと容易に戻ってこなくなるという懸念は解消されました。

 

「特定都市農地貸付け」

特定農地貸付けを準用した新たな仕組みの貸付である特定都市農地貸付けでは、生産緑地所有者は、市民農園の開設を希望するNPO法人や企業との間で生産緑地を賃借できるようになりました。

更に都市農地の貸借の円滑化に関する法律では、市民農園を開設する場合も特定都市農地貸付けの制度によって、地方自治体から計画書の承認を得ていれば、生産緑地の所有者と直接賃貸借契約が結べるようになり、特定農地貸付けの際に一度地方自治体が所有者から農地の利用権を取得し、NPO法人や企業が地方自治体から農地を借りるという二度手間の手続きが要らなくなったのです。

もちろん、地方自治体が承認した計画書通りの市民農園を運営していないと判断された場合は、当然のことですが勧告や承認取り消しもあります。

生産緑地・特定生産緑地のご相談は下記クリックしてお問い合わせください。


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【生産緑地・特定生産緑地の活用②】

前回のブログに続き、生産緑地・特定生産緑地の活用の②になります。

もうすでに、役8割の方が特定生産緑地への移行というニュースを受けましたが、営農が厳しくなってきたり、納税猶予を受けていて生産緑地・特定生産緑地を維持しなければならない方に営農以外の方法の参考になれば幸いです

 

その方法とは、

「土地を特養に貸す」ということです。

生産緑地法第3条には、生産緑地の指定条件の一つとして「公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること」という条文があります。

この中の公共施設には、道路・公園など以外にも公共事業によって供給される施設であって、公共財としての性格を持ち、公益施設である児童福祉施設(保育園)や老人福祉施設(特養など)も含まれていると解されています。

つまり、需要と供給が一致すれば生産緑地を特養の用地として地方自治体や社会福祉法人に貸せるということなんです。

 

2025年になると団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者になり、国民の3人に1人は65歳以上、5人に1人は75歳以上という超高齢化社会を迎えます。いわゆる「2025年問題」です。

特養の新設には、行政の認可をふうめて3年程度の時間を要します。

2015年から2017年にかけて特養は全国で整備されてきましたが、自治体が3年ごとに策定する介護サービスの整備計画の役7割にあたる4万5000床にとどまったと言われています。

地価や建設費の高騰、介護人材も不足している中で、政府は特養の待機者を2020年初頭までに解消する目標を上げていますが、実際はまだ不足のようです。

特養のような公益施設は手厚い補助の上に成立している場合が多く、運営主体が公益性を目的とする法人などであるため、健全な運営をしていれば倒産する可能性は低く、たとえ業績が悪化したとしても入居者に悪影響を及ぼさないように、行政が監査などを頻繁に行い、運営上の健全性を維持するように指導しています。

高額な地代は望めませんが、社会貢献という側面があるとともに、地代の前払い一時金(自治体による)によって相続対策も準備でき、将来的には更地で返してもらえるという好条件が揃っていて、貸主として安全で理想的な相手であると言えるのではないでしょうか。

 

他には土地として貸すのではなく、特養を建設して建て貸しの方法もあります。

この方法なら、収入は増やすことができます。

自ら社会福祉法人を設立して社会福祉事業(特養の経営)を行う方法もあります。

特養以外であれば、認可保育園に貸す方法もあります。

認可保育園は保育士の給与が低いこともあり、多大に地代が得られると考えるのは危険です。

出生数も減っているわけですから、需要と供給のバランスを考えて判断しなければなりません。

世の中、10年後・20年後を見通すのは難しいですが、人口動向だけはほぼ現実に即してきます。

人口動向は、今年何人生まれたかは確定した数字が分かり、その年に生まれた人は減ることはあっても増えることはないので、ほぼズレの無い予測が立つわけです。

それを基にどんな方法にするのか専門家を交えて考えるとより良い案が見つかると思います。

弊所でもお手伝いできますので、下記マークをクリックしてお問い合わせください。


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