小野瀬行政書士事務所のブログです。相続についての情報をお届けします。

特定空き家

空き家の固定資産税は高くなる?

空き家の固定資産税は高くなる?計算方法や節税についても解説

●自治体から「特定空家」に指定された場合、空き家の固定資産税が上がるおそれがある
●固定資産税は基本的に課税標準額に1.4%をかけて計算される
●固定資産税を節税するためには、信頼できる方に貸し出すほかに、売却するなどの方法がある

利用していない空き家を管理せず放置していると、自治体から「特定空家」に指定されることがあります。
特定空家に指定されると、結果的に固定資産税が大幅に上がるおそれがあるため、注意が必要です。

空き家が「特定空家」に指定されると固定資産税が上がる?

空き家が「特定空家」に指定されると固定資産税が上がる?

現在、日本では高齢化社会が深刻化するにつれて空き家も増え続け、社会問題になっています。
ここでは、空き家の固定資産税と「特定空家」について解説します。

空き家でも固定資産税がかかる

たとえその家に住んでおらず、活用していないとしても、空き家の所有者には固定資産税を支払う義務があります。
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課されるのが原則です。
ただし、不動産売却をした場合は、引き渡し日時点で固定資産税を日割りした金額を、買主から売主に精算するのが一般的です。
どのタイミングで売却しても、所有していた期間分だけ固定資産税を負担することになるケースが多いため、売却のタイミングを気にする必要はないでしょう。
なお、空き家だからといって固定資産税が安くなったり高くなったりすることはありません。
しかし、自治体から「特定空家」に指定された場合は、固定資産税がそれまでと比べて大幅に上がるおそれがあります。

特定空家とは

周囲の景観をとくに悪くしている空き家や倒壊の危険性が高い空き家などへの対策などとして、平成26年に「空家等対策特別措置法」が成立しました。
この法律をもとにした自治体の認定により、放置された空き家が「特定空家」として指定されることになりました。
市民からの相談や実態調査によって空き家が「周辺の住環境や景観を著しく損ねる」と判断された場合に、自治体から「特定空家」に指定されます。
具体的には、倒壊の危険性がある空き家や、著しく衛生上有害な可能性がある空き家、景観を損なっている空き家、周辺の生活環境の保全のため放置することが不適切な空き家などが、これに該当します。
つまり、すでに放置されており、周囲に迷惑をかけるような空き家が「特定空家」に指定されるのです。
特定空家に指定されたあとは、自治体から助言や指導がおこなわれ、それでも従わなかった場合は、より強制力のある勧告や命令が実施されます。
これにより、受けられていた控除の対象外になり、強制的に空き家を解体するなどの代執行がおこなわれ、かかった費用は所有者に請求されることになります。


空き家の固定資産税の計算方法

空き家の固定資産税の計算方法

ここでは、通常の空き家の固定資産税の計算方法と併せて、特定空家に指定されたあとの固定資産税についても解説します。

通常の空き家の固定資産税の計算方法

空き家の固定資産税の計算方法は、一般的な住宅の計算方法と変わりません。
土地と建物に分けて、以下のようにそれぞれ課税されます。

  • 土地の固定資産税=課税標準額×1.4%(軽減措置あり)
  • 建物の固定資産税=課税標準額×1.4%

固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる土地や建物の評価額で、自治体が調べて定めるものです。
住宅が建っている土地は、「住宅用地特例」により課税標準が以下のように軽減されています。

  • 面積200㎡以下の部分:固定資産税課税標準額=固定資産税評価額×1/6
  • 面積200㎡超の部分:固定資産税課税標準額=固定資産税評価額×1/3

しかし、特定空家の建っている土地は、住宅用地特例の対象外となる点に注意が必要です。
実際の計算は、突然固定資産税が跳ね上がらないようにするための負担調整措置などがおこなわれます。
そのほか、自治体によって独自の軽減措置などがおこなわれていることもあります。

特定空家の固定資産税の計算方法

特定空家の場合、住宅用地特例を受けることができません。
これまで受けられていた軽減措置が受けられなくなることで、結果的に固定資産税の負担が増えることにつながります。
ただし、特定空家に指定されたらすぐに固定資産税が跳ね上がるわけではありません。
指定後におこなわれる助言や指導に従い、空き家に対して適切な対処をおこなって改善すれば、控除の対象のままでいられます。
ただし、助言や指導に従わず、さらに勧告を受けても改善しない場合は、翌年から固定資産税の負担が増えるでしょう。


空き家の固定資産税を節税する方法

空き家の固定資産税を節税する方法

空き家を放置し続けると、固定資産税の負担が重くなるおそれがあるため、適切な対策が必要です。
ここでは、固定資産税の節税方法について解説します。

信頼できる方に住んでもらう

空き家が問題になるのは、活用することも管理することもできず、放置してしまうからです。
親族など信頼できる方に貸して居住してもらえれば、日常的な管理が自然とおこなわれるため、建物が傷むスピードも遅くなるでしょう。
もし固定資産税をまかなえる程度の家賃を受け取ることができれば、所有者の金銭的な負担はほとんどなくなります。
今後空き家を相続する予定がある場合は、事前に空き家の管理や住人、固定資産税の負担などについても話し合っておくと良いでしょう。

特定空家の指定を解除してもらう

所有する空き家が特定空家に指定された場合は、すぐに解除してもらえるよう、現状を改善することが大切です。
勧告から時間が経つまでに改善できれば、固定資産税の負担が増えることはありません。
たとえば、窓ガラスが割れたままになっているなど景観を悪化させている場合は、必要に応じて修繕をおこないます。
倒壊の危険がある場合は、耐久性を上げるための工事をおこないましょう。
このような改善が認められれば、特定空家の指定が解除されます。
改善に多額の費用がかかる場合やあまりにも老朽化が進んでいる場合などは、建物を解体したほうが良いことも少なくありません。
ただし、建物がなくなった土地は固定資産税の軽減措置が受けられなくなるため、固定資産税の節税にはなりません。

売却する

売却して空き家を手放すことで、固定資産税の負担から解放されます。
管理に困る空き家は相続でもめることも多いため、後のトラブルを防ぐことにもなるでしょう。
相続して3年以内の空き家を売却する場合は、「相続空き家の3,000万円特別控除」が利用できることもあります。
売却した利益から3,000万円まで控除できるため、売却後に課される譲渡所得税に対して大きな節税効果があります。
ただし、相続空き家の3,000万円特別控除を利用するためには、昭和56年5月31に以前に建築された建物であることや、マンションでないことなどの要件を満たす必要があります。
利用できるかどうかを売却前に確認しておきましょう。


まとめ

特定空家についてや固定資産税の計算方法、節税方法についてご説明しました。
空き家を活用していなくても、所有しているだけで固定資産税がかかるため、早めに対処することが重要です


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相続した空き家を放置するとデメリットがある?

相続した空き家を放置するとデメリットがある?解決策もご紹介

●空き家を相続した場合は換気や通水、掃除などの定期的な管理が必要となる
●空き家を放置し続けると、特定空家に指定されて固定資産税の負担が上がるなどのデメリットがある
●空き家状態にしないためには、建物の解体や売却などの解決策を取ると良い

空き家を相続したものの、とくに活用する予定がなく、つい放置してしまう方は少なくありません。
しかし空き家を放置することによるデメリットが多いため、適切な管理ができない場合は解決策を実行する必要があります。
この記事では、相続した空き家の管理方法や放置することのデメリット、空き家状態にしないための解決策をご説明します。

    相続した空き家の管理方法

    相続した空き家の管理方法

    現在、日本では放置された空き家が増え続け、社会問題となっています。
    空き家は適切に管理する必要があるものの、相続した空き家の対処方法がわからずに困る方は少なくありません。
    ここでは、空き家の管理方法について解説します。


    換気

    空き家は湿気がこもることでカビや害虫が発生し、柱など家の重要な部分が腐りやすくなります。
    そうなると空き家の資産価値は大きく低下するため、注意が必要です。
    湿気をためないようにするためには、定期的な換気をおこない空気の入れ替えをおこなうことが大切です。
    窓や扉だけでなく、押し入れやクローゼット、靴箱の扉などもすべて開けて、すみずみまで換気をおこないましょう。


    通水

    水道管を長期間使用しないと、さびが発生し、最悪の場合は水道管が破裂することもあります。
    また、水道管に水を流さないでいると悪臭の原因にもなります。
    水道管のなかには封水とよばれる水を貯めておく場所がありますが、長期間使っていないと封水は蒸発してしまいます。
    封水がなければ下水からのにおいや害虫、害獣が家のなかまで入り込んでしまうことがあるのです。
    できれば水道は使える状態にしたまま、月に1度は水道から1分程度水を流し、さびがないかなどを確認しましょう。


    掃除

    室内や庭の定期的な掃除も欠かせません。
    とくに庭の雑草を放置していると、見た目が悪くなるだけでなく害虫も発生し、周辺住民に迷惑をかけてしまいます。
    隣家まで伸びた木の枝や葉っぱなどを隣人が勝手に切ることはできないため、トラブルに発展しやすい問題でもあります。
    月に1度は念入りに掃除をおこないましょう。


      相続した空き家を放置するデメリット

      相続した空き家を放置するデメリット

      空き家には適切な管理が欠かせませんが、空き家から遠方に住んでいる場合や多忙な場合は管理するのが難しいと感じるかもしれません。
      しかし、空き家を放置することは多くのデメリットにつながるため、注意が必要です。


      犯罪に巻き込まれるリスク

      管理されていない空き家は、犯罪者に狙われやすくなります。
      不法侵入や放火、不審者に住みつかれるなど、さまざまなリスクが高まるのです。
      定期的に現地を見回らなければそのような事態になっていても気付けないため、より重大な事態に発展する場合もあります。
      周辺の治安悪化につながるおそれがあるため、近隣住民との関係が悪化するきっかけとなることもあります。


      「特定空家」に指定されることによるデメリット

      周辺の環境に悪影響を与える空き家であると行政が認めた場合に、「特定空家」に指定されることがあります。
      特定空家に指定された場合、固定資産税が跳ね上がるおそれがあります。
      家の建っている土地は固定資産税の軽減措置が適用され、200㎡以下の部分は固定資産税が6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に軽減されます。
      しかし特定空家はこの軽減措置の対象外となるため、結果的に固定資産税の負担が重くなることがあるのです。

      また、特定空家に指定されて行政からの指示や命令などに従わなかった場合は、強制的に建物が解体されることもあります。
      その場合の解体費用は所有者が支払う必要があるため、特定空家に指定されることは極力避けたほうが良いでしょう。


      所有者責任に問われるデメリット

      空き家をきっかけとして損害を受けた方がいる場合、所有者責任に問われます。
      たとえば、空き家の瓦がはがれて通行人にけがをさせた場合、所有者が責任を追及され、損害賠償などを求められる可能性があります。
      たとえその家から遠方にいたとしても、所有者である以上は適切に管理する責任が生じるのです。
      地震や台風など大規模な自然災害がきっかけだったとしても、所有者責任からは逃れられない場合があります。
      トラブルにあわないためには定期的に見回りをおこない、とくに自然災害のあとには念入りに建物の状態などをチェックする必要があります。
      なお、通常の家であればあらかじめ保険に加入しておくという対策が取れますが、空き家を対象に加入できる保険は少なく、あったとしても割高な保険料になるでしょう。


        相続した家を空き家状態にしないための解決策

        相続した家を空き家状態にしないための解決策

        相続した家を空き家にしているとデメリットが多いため、なるべく空き家の状態にしておかないことが大切です。
        ここでは、相続したあとに空き家状態にしないための解決策をご説明します。


        建物を解体する

        空き家をきっかけとしたトラブルの多くが、建物がきっかけで起こるものです。
        そのため、建物を解体して更地にすることで、トラブルの多くを未然に防ぐことができます。
        放火や不審者の侵入などの心配がなくなり、管理の負担も大幅に削減されるでしょう。
        ただし、解体には費用がかかります。
        1坪あたりの解体費用は、木造であれば5万円ほど、鉄骨造の場合は7万円ほど、鉄筋コンクリート造なら9万円ほどが相場です
        解体費用は建物の構造や、建物に面した道路の状況、隣家との距離など、さまざまな条件によって大きく変わるため、注意が必要です。
        また、建物が無くなると土地の固定資産税が高くなってしまうことに注意が必要です


        空き家を譲渡する

        空き家を有効に活用してくれる方が身近にいるのであれば、譲渡するのも解決策のひとつです。
        人が住むことで自然と換気や通水などの管理がされるので、建物の劣化が抑えられます。
        自治体や法人などが譲渡を受け入れてくれる可能性もゼロではありませんが、明確な利用計画がなければ断られることが多いです。
        空き家の隣地の所有者であれば土地を利用しやすいため、譲渡を受け入れてくれるかもしれません。
        無償で譲渡する場合でも、登記のための税金や贈与税がかかる場合があるため、あらかじめ相手に確認しておくことが大切です。


        売却する

        空き家の対処に困っている場合、まずは売却できないか確認してみるのがおすすめです。
        まずは空き家の価値を知るために、不動産会社に査定を依頼しましょう。
        査定の内容や対応に問題がなければ、売却を任せる不動産会社と媒介契約を結びます。
        不動産会社が広告を出すなどの売却活動をおこなった結果、買主が見つかり、条件に合意できれば売買契約を締結します。
        決済と引き渡しをおこなえば、空き家の売却は完了です。
        空き家を売却すれば、管理の手間や固定資産税の負担もなくなります。
        売れないだろうと思っていても、査定を受けてみたら意外と価値があったというケースも珍しくありません。

        まとめ

        相続した空き家の管理方法や放置した場合のデメリット、空き家状態にしないための解決策を解説しました。
        相続した空き家の管理が難しい場合は、まず売却できないか確認してみると良いでしょう。

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