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相続不動産

相続物件における不動産売却の注意点!

相続物件における不動産売却の注意点!名義・売却期限・媒介契約について解説

この記事のハイライト
●相続不動産を登記して名義変更しなければ不動産売却そのものができない
●相続で取得した不動産を売却するときは節税のための特例や控除がある期限に注意する
●売却時には3種類の媒介契約の特徴を把握してから不動産会社に売却を依頼する

相続した不動産を売却するときには、ご自身で購入した不動産を売却するときとは異なる注意点があります。
ここでは相続物件を不動産売却するときの、名義、売却期限、媒介契約のそれぞれの注意点について解説します。

相続による不動産売却では「名義」が注意点

相続による不動産売却では「名義」が注意点

相続不動産を売却するときの注意点には「名義」があり、とくに名義変更と共有名義について注意が必要です。
具体的にどのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。

名義変更の注意点

相続が発生し遺産の分割方法が決定して不動産を相続することになったとき、最初に必要なことは相続登記して名義変更することです。
相続に限らず、売買や贈与などで不動産を取得した場合、所有者が変更になったことを登記しなければ、正式に所有者が変わったといえないからです。
もし、親族や他の相続人が「この不動産は私のものです」と主張した場合、登記しなければ「私のものです」と権利を主張できないためです。
登記さえしていれば、他の方が権利主張をしたとしても、自分の所有権を主張してそれに対抗することが可能です。
また、相続不動産を登記して名義変更しなければ、不動産売却そのものができないでしょう。
登記していなければその不動産の所有者は故人のままとなり、故人は不動産売買契約を締結できません。
そのため、相続した不動産を売却する場合には、登記して名義変更したうえで不動産売却を進めましょう。

共有名義の注意点

不動産を相続する場合、一人の相続人が物件のすべてを相続することもあれば、複数の相続人でひとつの物件を所有することもあるでしょう。
その状態を共有名義といいます。
たとえば、3人の相続人で実家の土地と建物を均等に相続した場合、ひとりあたりの所有権は3分の1ずつです。
不動産売却して諸経費などを支払い、1,500万円残った場合には500万円ずつ取得できます。
このとき、相続人のひとりが売却に反対した場合、不動産売却そのものが成立しません。
持分割合の大小を問わず、持ち分を相続している相続人が売却に反対すれば不動産売却できないのです。
相続物件を不動産売却するための注意点として、共有名義人全員の売却への承諾や、契約内容の合意が必要なことを確認しておきましょう。


相続による不動産売却の注意点である売却期限

相続による不動産売却の注意点である売却期限

相続不動産を売却する際には、売却完了するまでの期限も注意点として意識しなければなりません。
どのような期限が売却に影響するのかご説明します。

相続税を支払うための不動産売却は10か月以内

相続税の支払期限は相続を知った日、その翌日から10か月以内と定められています。
相続人が不動産を相続できる間柄なら、故人が亡くなった日の翌日から10か月以内と考えることが一般的です。
そして、不動産売却して相続税を納税するなら、10か月の期限から売却期間を逆算し、遺産分割協議や相続手続きの期限を設定しましょう。
一般的に売却を決定してから査定を含む不動産会社とのやり取り、売却活動、契約から引き渡しまでは6か月程度かかります。
余裕を持って不動産売却するには、遺産分割協議や相続手続きは4か月以内に済ませる必要があることが注意点です。

相続税の取得費加算の特例を適用するには相続税納税から3年以内

相続税の取得費加算の特例とは、相続税を不動産売却の諸経費として算入しても良いという特例で、相続税を納税してから3年以内に不動産売却する必要があります。
不動産売却にかかった諸費用などを差し引いたお金は譲渡所得と呼ばれ、所得のひとつとして扱われるために所得税が課税されます。
そのときの計算方法は、売却価格から不動産を取得したときの費用と諸経費を差し引き、税率をかけたものが譲渡所得税です。
取得したときの費用は故人が不動産を取得した当時の価格のことで、もし、それが分からない場合は売却価格の5%を取得費として計算可能です。
相続税の取得費加算の特例を利用すれば、納めた相続税を諸経費に算入し、譲渡所得を引き下げられるので節税に繋がります。
このとき、納めた相続税すべてを算入するのではなく、相続した不動産部分の相続税のみ、相続税取得費加算の特例対象となるため注意しましょう。

3,000万円の特別控除を利用する

故人が住んでいた自宅を相続して売却したり、相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。
譲渡所得の計算で3,000万円を上回らなければ所得税が課税されないので、とても大きな控除だといえるでしょう。
故人が住んでいた自宅を相続人が売却する場合には、その相続人が同居していた実績があるなどの条件を満たさなければなりません。
相続をきっかけに相続人が転居した場合には、転居してから3年後の12月31日までの期限があり、それまでに売却を完了する必要があります。
空き家を相続した場合には、故人が居住していたことや、売却まで空き家のまま利用されていなかったなどの条件を満たす必要があり、この他にも細かい条件があります。
これらの特別控除を利用するときには細かく条件を確認し、適用されるかどうか判断しましょう。


相続による不動産売却では媒介契約の内容も注意点

相続による不動産売却では媒介契約の内容も注意点

相続不動産を売却するときには期限があるために、不動産会社への販売依頼契約である媒介契約についてもよく把握する必要があります。
3種類ある媒介契約について解説します。

一般媒介契約

一般媒介契約にて売主は複数の不動産会社と媒介契約を締結して販売を任せられ、幅広く買い手を探せることが特徴です。
契約期限は定められていないものの、行政指導にしたがって3か月を期限にしていることが一般的ですが、契約の解約自体はいつでもできます。
また、売主が自分自身で買主を見つけて直接契約することも可能です。
不動産会社としては媒介契約を締結したからといって販売方法に制限などないので、自由に販売活動できます。
注意点は、不動産会社が販売活動に力を入れたとしても他社が買主を見つける可能性もあるので、積極的に販売活動を進めない可能性がある点です。

専任媒介契約

専任媒介契約にて売主は一社の不動産会社としか契約を締結できませんが、自分自身で買主を見つけて直接契約することも可能です。
不動産会社は専任媒介契約を締結したら、7日以内にレインズへの情報登録と、販売活動報告を2週間に1回以上する必要があり、契約期限は3か月以内と定められています。
レインズとは国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営するネットワークシステムで、売却物件や賃貸物件の情報が登録されています。
レインズに掲載されている情報は不動産会社ならば閲覧できるので、より広い範囲にて買主を募れます。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約も専任媒介契約と同様に一社とだけ媒介契約を締結するもので、売主が買主を見つけてきても直接契約できません。
その代わりレインズへの登録は5日以内、販売活動報告は1週間に1回以上とより厳しいものになっています。
一社に任された不動産会社の責任も大きいために、積極的な販売活動を期待できます。


相続した不動産を売却する際の注意点として、名義変更すること、共有名義なら名義人の承諾を得ること、売却期限に注意することが挙げられます。
期限があるので、売却方法も注意が必要で、媒介契約についてもよく吟味して売却を進めましょう。

茅ヶ崎市・寒川町・鎌倉市・藤沢市・逗子市で相続した不動産の売却をお考えの方は「相続手続きの相談窓口・湘南」へご相談ください。

横浜市・川崎市で相続した不動産の売却をお考えの方は「相続手続きの相談窓口・横浜川崎」へご相談ください。

相続した不動産を売る場合でも測量することになります。


相続した不動産を売却する際には、敷地の測量が必要になる場合がほとんどです。

測量技術が昔より進んできているため、たとえ地積測量図があっても古いものだと新たに測量することを求められます。

また、敷地を測量したものを図面にするのですが、その図面も一種類ではありません。

 

確定測量図

土地の境界を完全に確定させた測量図になります。 土地には「境界」というものがあり、境界によって隣地や道路との線引きが明確になっています。 その境界には石や金属でつくられた境界杭(境界杭)が埋まっており、その杭によって土地の境界が明確にされているというわけです。

つまり、確定測量は土地の所有者と測量士だけでなく、隣人にも立ち会ってもらい、行政の図面をもとに土地の境界を全て確定させる測量による図面になります。

隣人に境界確定の了承を得る必要があり、筆界(境界)確認書も作成されます。

土地を売却(古家があっても購入者が土地で利用する場合も含む)する時は厳密に境界を定めなければいけないので、境界確定測量の実施を求められることが多いです。
買主が宅建業者で土地・新築分譲の再販売のための仕入れ購入であれば、100%求められます。




 






現況測量図

境界確定測量が隣人や行政の承認が必要であるのに対して、現況測量は、現在の土地の状況を測量士の目視により境界を計る測量方法です。

ブロック塀や境界杭の位置などから「ここが境界だろう」と思われるポイントを測量図に反映していきます。

この土地にどれくらいの大きさの建物を立てられるか、越境が無いか、などざっくり現況を知りたい場合は一旦測量士に現況測量をしてもらいます。

「仮測量」あるいは「仮測量図」とも言われます。


 

高低測量図

高低測量は敷地内の様々の地点の高さを、接面道路のある1点の高さを0として敷地の対象地点がどれくらい高くなっているのか、あるいは、低くなっているのかを記した図面です。

建物建築の際や土地の造成を必要とする場合は必要になる場合があります。

ただし、普通の不動産の売買取引では高低測量までは求められません。

逆に購入する買主側で行う場合がほとんどです。

 

地積測量図

地積測量図は隣接する道路や隣接地との境界の位置、土地の正確な面積、地積の求め方まではっきりと描かれています。さらに線の太さまでが定められている「法務省管轄の公的な図面」として保管されているのも大きな特徴です。

 

真北測量図

地積測量図では、多くの場合、真北の向きが厳密には不明です。真北を計測し図面化したものが真北測量図です。

真北は、商業地域以外の敷地では高度地区、日影規制の検討と確認申請上の手続きで必要になってきます。

計画敷地が、商業地に存在していても、北側のエリアに日影規制がある用途地域を背負う場合においては、その他の地域と同様に、日影規制、高度地区の検討に真北測量は、必要となります。

基本的には建築する側、つまり買主側が必要であれば行います。

土地売りの場合は、確定測量図作成時に真北測量を入れてあげると親切です。



 





不動産の売却では、確定測量が求められることがほとんどです。
不動産の売買の際には「物件状況等報告書」というものを売主の告知書として買主に交付します。
そこには、境界標が有るか無いか、越境は有るか無いか、隣地と境界について紛争は有るか無いかという内容を告知するようなっております。
そこに、紛争が無いと告知したのに、後々購入者が隣地に境界について売主から聞いた話しと違う話をされたら、告知書の内容と違うということで契約不適合責任を追及されかねません。
ですから筆界確認書に署名・捺印をいただく確定測量があれば安心ですよね。

当然ですよね。

隣地と境界で揉めている不動産を購入したいという買主はいないと思っていただいて間違いはありませんから。

日ごろから近隣とは良い付き合いをしていただくと売却もスムーズです。
特に相続で取得した不動産の売却時は、お父さん・お母さんが存命の時は隣地との付き合いが良好であっても、相続人と隣地の方との関係が良好とは限りません。
筆界の確認を隣地に求めることは多くの場合に土地家屋調査士が行ってくれますが、できる限り売主である相続人も立ち会って挨拶も兼ねて土地家屋調査士と一緒に筆界を確認してもらいましょう。

それでも、境界に対して主張が違う隣地がある場合は、法務局の筆界特定制度を利用できます。

それでも合意できない場合は境界確定訴訟によって筆界を特定するしかなくなります。

鎌倉市・茅ヶ崎市・寒川町・藤沢市・逗子市で相続不動産した不動産の相談は「相続手続きの相談窓口・湘南」まで、お気軽にご相談ください。

横浜市・川崎市で相続した不動産の相談は「相続手続きの相談窓口・横浜川崎」まで、お気軽にご相談ください。

 

【相続不動産について】

こんにちは。

本日は相続不動産について書いてみましょう。

まず、各年の相続財産の内訳を見てみましょう。

相続財産の構成比(国税庁HPより )
国税庁の資料です。
直近が平成29年ですので少し古いですか。
29年を下から見ると
土地:36.5%
家屋:5.4%

有価証券:15.2%
現金・預貯金等:31.7%
その他:11.2%
となっております。

この中で不動産は土地と家屋を合わせて41.9%にもなるのです。
特に土地ですが、土地の財産評価は路線価額になります。(市街化調整区域は倍率方式です)
土地には1物4価と呼ばれ4つの価格があります。路線価流通価格実際に取引される価格)の70%位路線価は公示価格の80%位であり、公示価格は流通価格の90%~95%位と言われているため)になります。

建物の財産評価は固定資産税評価額です。これは新しければ流通価格との差が大きいですが、古くなるほど流通価格との差が少なくなりますので、細かく出さなければ資料の流通価格と財産価格の差はわかりません。
ただ流通価格>財産価格なんだろうと考えますが、今回はそのままにしておきます。

さて、土地は相続財産の内、36.5%を締めていますが単純に財産価額が流通価格の70%とした場合、流通価格に戻した割合は約52%になります。
土地には路線価より流通価格が低いものもありますので、そう単純ではありませんが今回はざっくり考えても50%に近くなってもおかしくはありません。
また家屋の5.4%を加えると、どんなに割り引いても不動産の割合は50%超となります。

これほどの割合を占める不動産を相続で取り扱うのはどんな場面でしょうか?誰でしょうか?
相続登記をする際に司法書士の力を借りなければなりません。
土地を測量して確定測量図を作成するには土地家屋調査士の力を借りなければなりません。
財産評価額を出すには税理士の力を借りなければなりません。
不動産鑑定士は・・・不動産最高峰の資格ですが特にありません。

しかし・・・
例えば司法書士の先生は不動産をご指示通り登記しますが、不動産をどのように遺産分割したら良いのかアドバイスをすることはできません。
なぜかと言うと、流通価格を出すことができないからです。
そして流通価格を出せなければ最も有効な将来を考えた判断ができないからです。

共有で所有したほうが良いのか、単有で所有したほうが良いのかなど、そもそも、所有しておいたほうが良いのか、それとも売却したほうがよいのか。換価分割にするのか代償分割にするのか。などなど。
これは流通価格を出し、その不動産の最有効利用の形を把握している不動産会社にしかできないのです。


更に相続発生後ではなく、生前の不動産相続対策は不動産会社勤務経験者以外では良いアドバイスは受けられないように考えます。

ただし、不動産会社は取引が発生しないと報酬を得られないため、取引に持っていこうとする会社が多いです。
有名な大手の会社でもその傾向が強いです。
更に各士業の先生に比べると不勉強な人が多いのは事実です。

ですから、不動産相続のコンサルティングができる不動産会社でなければダメなんです。
昔から不動産会社は千三(1000に3つしか本当のことは話さない)なんて言われていた業界だったこともあり、未だに信用は高くありません。今はコンプライアンス意識が高まって昔とはだいぶ変わってきているようです。

ですから、個人的には、不動産コンサルティングマスター(特に相続対策専門士)が所属する会社を選ぶと良いと考えています。

前にも書きましたが、一昔前は相続の仕事は士業にとって花形の仕事では無かったはずです。ですが最近は相続手続を扱う士業の事務所や法人が増えています。
そうは言っても士業が扱うのは一専門分野なのです。

そこで資料の中で不動産以外の財産をみてみましょう。

有価証券の手続に士業の資格は必要でしょうか。
現金・預貯金の手続に士業の資格は必要でしょうか。

相続手続の専門分野相続税の申告・相続放棄手続・不動産登記など)には資格が必要です。
ただ、その内容は専門的で小さな範囲で、それ以外のことは実は各士業の事務所や法人の従業員が行っていることが多いです。

相続財産の中で、不動産が占める割合が50%以上である現実を見れば、各士業の相続手続を扱う事務所や法人は宅建業免許を取得(不動産業の免許)すればすごく合理的だと考えてしまうのです。

まぁ、宅建業免許とまではいかなくても、
不動産コンサルティングができて、相続手続きのお手伝いができる士業の事務所か法人を見つけたら、安心して相談できるんじゃないかと考えています。

最後に相続財産に不動産がある場合は、セカンドオピニオンで不動産コンサルティングを受けてみても良いと思いますよ。


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相続手続きの相談窓口

小野瀬行政書士事務所は「相続手続きの相談窓口」を運営しております。
「相続手続きの相談窓口」では、茅ヶ崎市を中心に神奈川県内の遺言書作成・家族信託等の生前対策と、相続人の特定・相続財産の特定・遺産分割協議書作成・名義変更等の相続手続きの相談を承っております。
また、行政書士事務所とは別に不動産の仕事もしておりますので、不動産の相続対策、空き家問題等の相談にも対応いたします。さらに、不動産の最有効使用等の不動産コンサルティングもしております。相続に関することと、不動産に関することはお気軽にご相談ください。。

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